REPORT 事業報告

REPORT 事業報告

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2017年度の実施目標及び実施計画

実施目標

  • (1)健康社会の実現に向けて創薬化学を基盤にアカデミア創薬にチャレンジする大学であることを各ステークホルダーに向けて発信を開始する。
  • (2)従来進めてきたアカデミア創薬研究を継続的に実施するとともに,新たな共同研究を開始する。(学外との共同研究 5件)
  • (3)アカデミア研究者に対し,研究内容を論文,学会,シンポジウムで発信する。(計20件)
  • (4)企業に対し,アカデミア創薬の取り組みを,展示会で発信する。(2件)
  • (5)高校教員あるいは高校生に対し,オープンキャンパスや模擬授業等でアカデミア創薬の取り組みを発信する。(計3件)
  • (6)学生に対し,アカデミア創薬の取り組みを学内セミナー等で発信する。(2件)

(申請時と記載順を変更)

実施計画

<情報発信>

  • (1)すべてのステークホルダーに向けて,ホームページで本事業の開始を発信する。
  • (2)ホームページ等で学外の共同研究者を募る。
  • (3)シンポジウム,学会,学術誌等でアカデミア及び企業に向けて研究内容を発信する。
  • (4)BIO Tech 等のライフサイエンス関係の展示会で企業及びアカデミアに向けて研究内容を発信する。
  • (5)オープンキャンパスや模擬講義等で,高校生・高校教員に向けて本事業の開始を発信する。

<研究計画>

  • (1)先天性末梢神経変性症(Charcot-Marie-Tooth病)の創薬標的分子サイトヘジンの活性化を指標にして,化合物のハイスループットスクリーニングシステムを確立するための蛍光基質を合成する。
  • (2)先天性中枢神経髄鞘変性症(Pelizaeus-Merzbacher病)の創薬標的分子(CD69など)への結合活性を指標にして,化合物のハイスループットスクリーニングシステムを確立するための標識基質を合成する。
  • (3)潰瘍性大腸炎に経口投与で有効なPin1阻害剤の構造最適化を進める。
  • (4)第2の疾患をターゲットとしたPin1阻害剤の構造最適化を進める。
  • (5)GST-noboを標的とした昆虫発生阻害剤について,化合物の構造最適化を進める。
  • (6)ヒトGSTP1阻害剤のハイスループットスクリーニング(20万化合物)を行う。
  • (7)機能ペプチド−薬物複合体(PDC),抗体−ペプチド−薬物複合体(APDC)の構築法を開発する。

29年度の事業成果

<実施目標・実施計画-情報発信>

  • (1)大学ホームページ,https://www.toyaku.ac.jp/about/effort/branding,分子生命科学科 医薬品開発プロジェクトのページhttp://www.ls.toyaku.ac.jp/~souyaku/,及び独自のサイトhttp://toyaku-branding.jp/を開設し,アカデミア創薬への取り組みと進捗状況を発信した。
  • (2)学外との共同研究を新たに6件を開始し,従来からの継続と合わせて15件を実施した。
  • (3)アカデミア等に向けて論文・総説33報,学会やシンポジウムの主催5件,シンポジウムや学会での発表77件により情報を発信した。
  • (4)企業に向けて展示会での発信を3件行った。
  • (5)高校生に向けて模擬授業6件を行いアカデミア創薬の取り組みを発信した。学内外の入試説明会等(6回)でアカデミア創薬に関する取り組みを紹介した。
  • (6)学生に対し学内セミナー1回,及び研究室紹介を通してアカデミア創薬の取り組みを発信した。
  • (7)その他,新規の特許出願3件,及びPCT出願3件を行った。学内外の入試説明会等で,高校生や高校教員にこの事業を紹介した。日本バイオイメージング学会の市民公開講座を主催し,一般市民向けに生命に関する講座を提供した。

<研究計画>

  • (1)ハイスループットスクリーニングのためのアッセイ法構築を開始した。
  • (2)創薬標的分子として CD69よりも重要なターゲットを予備的に同定した。
  • (3)経口投与で有効な阻害剤の開発に成功し,製薬企業とMTA契約を結んだ。
  • (4)NASH(非アルコール性脂肪肝)に有効な化合物群の開発に成功し,3件の特許を出願した。
  • (5)スクリーニングにより得られた化合物とその類縁体についてGSTnoboとの共結晶構造解析を進めた。
  • (6)20万化合物のスクリーニングを行ない,GSTP1に対する選択的阻害能が高い化合物を46種類得た。
  • (7)固相担持型ジスルフィド形成試薬を用いて、水溶性ペプチドと難水溶性薬物の複合体を効率的に得る手法を開発した。マイクロ流体技術を利用して、化合物の内封を可能とする約70nm以下の極微小化ナノ粒子の調製に成功した。
  • (8)その他 (a)CBX2阻害剤の開発:インシリコスクリーニングにより同定された化合物を基にCBX2とメチル化ヒストンH3の結合を阻害する化合物を設計した。(b) SIRT2阻害剤の開発:スクリーニングにより同定した化合物の阻害機構を明らかにした。(c)合成技術の高度化:酵素触媒を利用するビフェニル誘導体の軸不斉制御法を高度化し,五味子の有効成分ananolognan Aの不斉全合成を達成。多環性芳香族化合物の位置選択的プレニル修飾法を高度化し,tomentonone およびpruniflorone Iの全合成を達成した。(d)超音波と増感剤を利用したアルツハイマー病関連アミロイドβの除去に関する研究を着手した。

29年度の自己点検・評価及び外部評価の結果

<自己点検・評価>

  • 年次計画の数値目標はいずれも達成し,初年度の「健康社会の実現に向けて創薬化学を基盤にアカデミア創薬にチャレンジする大学」としての基盤構築を順調に進めることができた。また,特許出願も当初計画以上に成果があり,企業とのMTA締結も1件あった。展示会で発信することによりアカデミアとの共同研究の機会を得たが,今後は企業との共同研究がより活発化するよう,リソースの開発と情報発信を行う。一方,高校に向けて本学のイメージの発信はある程度行えたものの,入学試験の受験者数という指標で見る限りは増加には至らなかった。ただし,模擬講義や入試説明会でこの事業実施教員と交流したことをきっかけに入学を決めた学生が少なからずあったことから,高校生へ向けた情報発信の取り組みをさらに強化して行うことが重要である。一般社会に向けての発信は,まだ十分に行えたとは言えない。ホームページを開設したが,コンテンツを充実させることにより活用することが今後の課題となる。

29年度の補助金の使用状況

  • 事業実施に必要な経費 30,000千円
    (=調書に記載した額)
    補助金交付決定額 39,000千円
    経費の実績額 39,000千円
    補助金返還額 0円