ABOUT 事業内容について

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事業内容について


人々が健康で幸福な生活ができるように、新薬の開発は常に求められています。
また、医薬品産業は、私たちの国の経済にとっても重要です。

このプロジェクトは、創薬化学を基盤に東京薬科大学の力を結集してアカデミア創薬
取り組むこと、また、この活動を通してこれからの創薬人財を育てることを目的としています。

アカデミア創薬では、創薬標的に対して作用する化合物を探索し医薬品開発の種になるまで磨き上げることを大学が行うことにより、大学発の医薬品開発を目指します。


医薬品の開発は、従来は製薬会社でなければ不可能でした。医薬品開発には様々な分野の高度な知識と技術をもつ大勢の専門家と、1000 億あるいは 2000 億円以上もの資金が必要だからです。しかし新薬開発には大きなリスクが伴うため、企業が開発研究に着手できる課題は限られています。一方、新薬の開発が必要な疾病は多く、それを切実に待ち望んでいる患者さんは大勢います。


大学には医薬品開発につながる可能性のある研究課題が多数あります。医薬品を世の中に出すためには企業の力が不可欠となりますが、企業が慎重にならざるをえないような研究課題にも大学はチャレンジすることができます。


期待される研究成果

創薬の標的となる研究対象を持つ生物学系の研究者と、有機合成を駆使できる化学系の研究者、情報化学系の研究者、さらに使える薬とするために、薬の動態を扱う研究者がいくつかの課題で力を合わせます。

プロジェクト期間内の達成を目指している一番のゴールは、医薬品としての臨床開発・実用化に向けて開発した化合物(薬の種)を企業に導出することです。

そして、その先の健康で豊かな社会の実現に貢献したいと願っています。

期待される研究成果

先天性末梢神経変性症(Charcot-Marie-Tooth病)

2500人に1人の頻度で病因を有する疾患である。特異的治療薬は現存せず、対症療法のみである。そこで世界初の当該疾患特異的治療薬の開発を行う。民間製薬企業での治療薬開発が難しい患者数の疾患であるため、アカデミア創薬での治療薬開発が期待される。この申請事業において化合物のスクリーニング系を確立し、探索を行い、ヒット化合物の構造展開にまで進め、特許出願を目指す。

手足に張り巡らされている神経をとくに末梢神経と言います。痛みを感じる神経などがそれです。しかし、先天性(遺伝的)の原因で、この末梢神経が異常になり(変性し)病気になる疾患を Charcot-Marie-Tooth 病と言います。


2500 人に 1 人の頻度で病因を有する遺伝性の末梢神経変性疾患です。一部の患者さんには強い症状が現れ、周期的な発作を示します。複数の遺伝子変異が原因であることが知られ、2018 年現在では 50 を超える原因遺伝子が明らかにされ、変異による蛋白質の凝集が疾患の原因と考えられています。


感染による症状の重篤度増強の場合を除き、生命に危険を及ぼす疾患ではなく、とくに国内での製薬企業での研究は遅れ、特異的な薬は明らかにされておりません。現時点では、神経麻酔などの対症療法で治療が行われているのが現実です。したがって、Charcot-Marie-Tooth 病はアカデミア創薬での新薬開発が期待される分野です。

先天性中枢神経髄鞘変性症(Pelizaeus-Merzbacher病)

20-30万人に1人の頻度で病因を有する疾患である。特異的治療薬は現存せず、対症療法のみである。民間製薬企業での治療薬開発が難しい患者数の少ない疾患であるため、アカデミア創薬での治療薬開発が期待される。そこで、本疾患の創薬標的分子(CD69など)への結合活性を指標に、化合物のスクリーニングシステムを確立し、探索とヒット化合物の構造展開を行う。

生まれながらにして脳が不完全に発達してしまう病気で、日本では100家族ほどいます。青年期まで生きることが難しい病気で、薬が無く、治すことが困難です。病院に行き、検査のときに脳の写真のようなものを撮影しますが、写真のなかの白い箇所が段々となくなっていくのが、この病気の特徴です。したがって、たいへん重篤な病気です。東京薬科大学の研究グループを中心とした、このプロジェクトで薬をつくる研究が動き出しています。これこそが、アカデミア創薬での新薬開発が期待される分野です。

Pin1(プロリン異性化酵素)阻害剤の開発

広島大学医学部および東京大学創薬機構との共同研究で、潰瘍性大腸炎をはじめとするいくつかの疾患に重要なPin1を標的とした創薬研究を進めている。大腸を標的としたPin1の阻害薬は大きな副作用を生じないと考えられ、企業導出を目指す。また、複数の疾患に対し個別に最適化を行ったPin1阻害剤の開発を行い、特許出願さらに企業導出を目指す。

プロリン異性化酵素(Pin1)は様々な疾患に関与しています。例えば潰瘍性大腸炎や脂肪肝、さらにがんの患部に大量に発現しています。Pin1を阻害することにより、これらの疾患の症状が改善されることが報告されています。

寄生虫媒介昆虫、農作物害虫の発生を阻害する薬剤(殺虫剤)の開発

筑波大学大学院および東京大学創薬機構との共同研究で、昆虫の発生に必須な酵素の阻害剤開発を進めている。この阻害剤は、農作物害虫に対する農薬、あるいはマラリア媒介蚊に対する薬剤としての可能性が考えられ、ある農薬メーカーで個体レベルの試験を行っている。これらの結果を踏まえて最適化に向けた合成展開を行い、企業導出を目指す。

大学などで活性を高めたり毒性をなくしたりして医薬品の基になる化合物の性能をできるだけ向上させた後、特許を取得して製薬企業に紹介します。興味を持った企業があると特許を買い取るなどしてその後の臨床試験等を製薬企業が行います。このように製薬企業にその後の開発を委託することを企業導出と言います。

GSTP1阻害剤と特異的蛍光基質の開発

東京大学創薬機構との共同研究でヒトGSTの阻害剤を探索している。GSTP1はある種のがん細胞で高発現し抗がん剤耐性に寄与しており、阻害剤を抗がん剤と併用することで、薬剤耐性化したがん細胞を抑えることが期待される。また、がん細胞の検出への応用を目指してGSTP1選択的な蛍光基質の開発を進め、特許出願する。

生体機能中分子ペプチドの創製を基軸とした新しい創薬研究

創薬標的に対して広範な多点認識能を有する中分子ペプチドを基に、ハイブリッド化機能分子を構築することで、難病等の治療薬創製に資する新機軸を創造する。具体的には、機能ペプチド−薬物複合体(PDC)、抗体−ペプチド−薬物複合体(APDC)の構築、及び、がん、生活習慣、高齢化に関わる疾患を対象とした化学療法の確立をめざす。また、DDSを意識した生体適合性向上も加味する。がん治療では独自創製のPlinabulin(治験第Ⅲ相中)のAPDC及びPDC化、生活習慣病治療では摂食抑制を示すニューロメディンUアゴニストからの抗肥満性APDCの創製、高齢化ではアミロイド病の原因蛋白質をノックダウンするPDCの創製をめざす。

よくピザ(=くすり)のデリバリー(=患部に運ぶ)に例えられ、くすりを患者さんの体内の必要とする患部に、必要な量を、必要な時間作用させる技術のことを「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」と言います。副作用の無いかつ効率的なくすりによる治療に必要不可欠と考えられています。副作用が高いとされてきたくすりを、「リポソーム」というくすりのナノカプセルに詰め込み、がん細胞のみにピンポイントに送り込むDDS技術が、一部のがん治療に使われています。現在、究極的なピンポイント治療を成功させる「鍵」として、DDS技術を使ったくすりの開発に注目が集まっています。

2017年度の実施計画

  • 先天性末梢神経変性症(Charcot-Marie-Tooth病)の創薬標的分子サイトヘジン の活性化を指標にして,化合物のハイスループットスクリーニングシステム を確立するための蛍光基質を合成する。
  • 先天性中枢神経髄鞘変性症(Pelizaeus-Merzbacher病)の創薬標的分子(CD69など)への結合活性を指標にして,化合物のハイスループットスクリーニングシステムを確立するための標識基質を合成する。
  • 潰瘍性大腸炎に経口投与で有効なPin1阻害剤の構造最適化を進める。
  • 第2の疾患をターゲットとしたPin1阻害剤の構造最適化を進める。
  • GST-noboを標的とした昆虫発生阻害剤について,化合物の構造最適化を進める。
  • ヒトGSTP1阻害剤のハイスループットスクリーニング(20万化合物)を行う。
  • 機能ペプチド−薬物複合体(PDC),抗体−ペプチド−薬物複合体(APDC)の構築法を開発する。

細胞の形態変化を制御する Arf6 という蛋白質を活性化し、末梢神経の形態変化を制御します。とくに、末梢神経のグリア細胞に存在し、髄鞘(ミエリン鞘)をもつ有髄神経をつくり、末梢神経の変性疾患の創薬標的としての可能性が注目されつつあります。


初めに血球系細胞に多く発現している蛋白質として見つかりましたが、その後の研究で、手足にひろがる末梢神経にもあることが分かりました。


ヒトでは 4 種類の類似した蛋白質(サイトヘジン1から 4)があります。サイトヘジン1の染色体における遺伝子構造やその性質は、当該研究者たちが所属している研究グループにより解明されました。とくにサイトヘジン1は末梢神経のグリア細胞すなわちシュワン細胞に存在し、シュワン細胞がミエリン鞘をつくる初期段階に重要です。一方、サイトヘジン 2 はミエリン鞘をつくる後期過程に重要であると考えられています。どちらのサイトヘジンも細胞の形態変化を制御するArf6 を活性化することで、ミエリン鞘をつくることが示唆されています。


これらのサイトヘジンの活性を人為的に制御できれば末梢神経の変性疾患を改善できると期待されています。

医薬品開発の種となる化合物を探索するために、ロボットなど自動化されたシステムを用いてたくさんの試料を高速で試験する技術をハイスループット・スクリーニングと言います。


スクリーニングとは、目的の活性をもった化合物をある試験法を用いて“ふるい”にかけて探索することです。スクリーニングのためにたくさんの種類の化合物を収集したものを化合物ライブラリーと言います。大きな製薬会社では、100 万種類を優に超える化合物ライブラリーを保有しています。ハイスループット・スクリーニングでは短時間(例えば1日)で大量(例えば1万種類の化合物)のスクリーニングを行いますが、そのためには高感度で信頼性が確保された活性評価方法が必要です。

2018年度の実施計画

  • 先天性末梢神経変性症(Charcot-Marie-Tooth病)に関して、ハイスループットスクリーニングのためのアッセイ系を構築し、化合物のスクリーニングシステムを開発する。
  • 先天性中枢神経髄鞘変性症(Pelizaeurs-Merzbacher病)に関して、結合活性を指標にして化合物のスクリーニング系を確立する。
  • 第2の疾患をターゲットとしたPin1阻害剤に関し、構造最適化を進めながら企業導出を目指す。
  • GST-noboを標的とした昆虫発生阻害剤について、タンパク構造に基づいた化合物の構造最適化を行う。
  • ヒトGSTP1活性阻害剤について、化合物の構造最適化を進める。また、GSTP1とアポトーシス等制御因子とのタンパク間相互作用を阻害する化合物をスクリーニングするためのアッセイ系を構築する。
  • PDC(ペプチド―医薬品架橋体)やAPDC(抗体−ペプチド―医薬品架橋体)の構築法開発に基づく抗体—核酸架橋体や独自創製した抗がん剤(Plinabulin)—抗体架橋体の創製を進める。また、架橋部位選択的なADC(抗体−医薬品架橋体)を実現するために必要な抗体への位置選択的官能基導入法の開発を進める。
  • 新規ジスルフィド構築法の確立と環状ペプチド性医薬品合成への応用を進める。
  • 光/超音波増感分子を用いた酸素化によるタンパク質の機能阻害を目指し、アミロイドβ等の疾患関連分子を不活化する分子を創製する。
  • ヒット化合物の自在かつ効率的構造展開を可能にする合成技術を高度化する。不斉中心をもたないキラル化合物の不斉合成法の開発と生物活性化合物合成への展開、芳香族骨格の選択的プレニル修飾法の開発と生物活性化合物合成への展開など。
  • タンパク構造に基づいた創薬支援技術を高度化する。高速GPCPUサーバを用いたin silico構造解析システムの構築など。
  • 「生体内で(in vivo)」や「試験管内で(in vitro)」に対して、「コンピュータを用いて(in silico)」疾患の原因となるタンパク質の分子構造を構築したり、医薬品候補化合物との結合活性を予測するための計算システム。最近は、機械学習の手法なども取り入れられています。

  • クロモドメインタンパク質CBX2阻害剤の開発に関して、構造情報を基にしたスクリーニング・ヒット化合物の最適化研究を行う。
  • スクリーニングとはふるいわけのこと。この場合、たくさんの化合物の中から目的の活性を有する化合物を選別することをいう。ヒット化合物は、スクリーニングにより選別された目的の活性を有する化合物のことです。

  • 慢性骨髄単球性白血病の原因遺伝子として同定されたエピゲノム因子について、化合物スクリーニング系を構築する。
  • ゲノムとは全遺伝情報のことであるが、そのゲノムに加えられた修飾をエピゲノムといい、主にヒストンタンパク質の修飾(メチル化、アセチル化)やDNAのメチル化などがある。ゲノム(全遺伝情報)から生命活動に必要な情報を引き出す仕組みであり、環境などによって後天的に変化する。エピゲノム因子とは、このエピゲノムを調節するタンパク質のことで、遺伝子の発現を制御する。

  • ヒストンH3K9ジメチル化酵素G9aやリジンNAD依存的リジン脱アセチル化酵素SIRT2阻害剤の薬効を評価する。
  • 細胞のがん化に関わるYEATSドメインタンパク質について、アセチル化ヒストンとの結合活性を指標にした化合物スクリーニング系を確立する。
  • 二つの物質(この場合は、YEATSドメインタンパク質とアセチル化ヒストンタンパク質)が結合するときの強さ。

第4回 日本ミエリン研究会を主催しました。

第4回 日本ミエリン研究会を主催しました。

ミエリン(または髄鞘):神経細胞(ニューロン)の太い線維(神経軸索)の周りを年輪のように巻く鞘状の構造体で、神経細胞の信号伝達機能に重要な役割をなす。もしミエリンが壊れると重篤な病気が引き起こされる。

2018年7月14日(土)に、分子神経科学研究室の山内淳司教授が、第四回日本ミエリン研究会(代表世話人:山内)共同主催しました。

オリンパスホール八王子

第41回 日本神経科学大会に参加します。

神戸で開催されます国内最大の神経の学会である日本神経科学会でシンポジウムを行います。


シンポジウム 7/28(土)

3S08e
動的なミエリン(髄鞘)、その研究は神経疾患治療の新たな手掛かりを提供する

座長
山内淳司 先生
(東京薬科大学 生命科学部・分子神経科学研究室)
緒方 徹 先生
(国立障碍者リハビリテーションセンター病院障害者健康増進運動医科学支援センター)
オリンパスホール八王子

プロジェクトメンバー山内教授の講演が聴けます。

東京薬科大学生命科学部25周年記念シンポジウム

場所:オリンパスホール八王子

日時:10/20(土)11:00~